司法書士試験に一度挑戦して不合格だった場合、次年度の講座選びで迷いやすいのが、
「もう一度、入門講座から全部やり直した方がいいのか」
という問題です。
結論からいうと、2回目だから入門講座を取り直す必要があるわけではありません。
2027年向けの各校講座を見ると、予備校側も再受験者を一括りにはしていません。
たとえばアガルートでは、
- 入門カリキュラム
- 中上級カリキュラム
- 演習総合講義
- 記述・答練パック
- 記述解法マスター
- 記述過去問解説
- 記述ひな形対策
まで分かれています。2027年向けでは、入門フル349,800円に対し、中上級ライト184,800円、演習総合講義129,800円、記述・答練パック162,800円です。
TACにも2027年向けで、初学者向けとは別に、
- 上級総合本科生
- 上級本科生
- 答練本科生
- 答練本科生択一式対策プラス
- 答練本科生記述対策プラス
が用意されています。
つまり問題は、
「2回目だからどの講座?」
ではなく、
「前回の不合格原因を埋めるには、どこまで買い直す必要がある?」
です。
- まず「入門・中上級・答練」の3択に分ける
- 入門から取り直した方がよいのは「点数が低い人」ではなく「基礎を説明できない人」
- 一通り勉強したなら、入門ではなく中上級の中身を見る
- アガルートなら、入門フル349,800円と演習総合129,800円では22万円違う
- 中上級でも「フル」と「ライト」は同じではない
- TACはさらに「択一が基準点付近」という線を引いている
- 「択一は取れる、記述で落ちた」なら入門本科を買い直す前に止まる
- LECなら「インプットを付けず答練だけ」という選択肢もある
- 実際の受講者もTACとLECの答練を「解説内容」で比較している
- 伊藤塾にも「総合型」だけでなく弱点別講座がある
- 「去年の予備校で落ちたから乗り換える」は理由として弱い
- 合格特典のためにフルを選んでいないかも確認する
- 2回目の講座は「前年の失点」を起点に選ぶ
- 結論|入門を取り直すのは「基礎が完成していない人」
- 出典
まず「入門・中上級・答練」の3択に分ける
大まかには、前回の状態を次のように分けると判断しやすくなります。
| 前回の状態 | 次に検討したい方向 |
|---|---|
| 基本科目の理解そのものが曖昧 | 入門から再構築 |
| 一通り学習したが得点につながらない | 中上級・演習型 |
| 択一は戦えるが記述・本試験演習が弱い | 記述・答練中心 |
重要なのは、前年に講座を受けたかどうかではありません。
前年に50万円前後の本科を受講していても、講義を消化できていなければ基礎からやり直す意味があります。
逆に一度独学でも、主要科目の理解ができていて択一も基準点近くまで来ているなら、入門講義を全部聞き直す必要性は下がります。
入門から取り直した方がよいのは「点数が低い人」ではなく「基礎を説明できない人」
入門講座を取り直す候補になるのは、たとえば次のようなケースです。
- 民法の主要論点を自分の言葉で説明できない
- 不動産登記法の申請構造が整理できていない
- 商業登記法で何を登記するのか毎回迷う
- 過去問を解いても正誤だけ覚えている
- 前年の本科講義を最後まで消化できなかった
- 記述以前に択一主要科目で大きく崩れている
アガルートの2027年入門カリキュラムも、基本的には初学者向けですが、「もう一度基礎・基本からやり直したい学習経験者」も対象に含めています。
つまり再受験者が入門を選ぶこと自体がおかしいわけではありません。
ただし、その理由は「一回落ちたから」ではなく、
去年の学習で基礎が完成しなかったから
であるべきです。
一通り勉強したなら、入門ではなく中上級の中身を見る
逆に、
- 主要科目は一通り学習した
- 過去問も回している
- 問題を見れば論点は分かる
- ただし本試験になると得点できない
- 記述まで手が回らなかった
という人なら、中上級の方が対象に近くなります。
アガルートの2027年「演習総合講義/中上級カリキュラム」は、まさに**「学習経験があるが思うように点数が伸びない人」**を対象としています。公式では「講義時間を通常の半分に凝縮し、問題演習を厚くする」という設計です。
演習総合講義だけでも、
- 民法:約50時間
- 不動産登記法:約44時間
- 会社法:約28時間
- 商業登記法:約31時間
- 民事訴訟法:約15時間
など、主要11科目を約200時間規模で扱います。
つまり、
「基礎をゼロから説明してもらう」より、「問題を使って知識を整理し直したい」
人向けです。
アガルートなら、入門フル349,800円と演習総合129,800円では22万円違う
2027年向け価格を見ると、
| アガルート2027 | 税込価格 |
|---|---|
| 入門フル | 349,800円 |
| 入門ライト | 239,800円 |
| 中上級フル | 272,800円 |
| 中上級ライト | 184,800円 |
| 演習総合講義 | 129,800円 |
| 記述・答練パック | 162,800円 |
となっています。
入門フルと演習総合講義だけなら22万円の差があります。
したがって再受験者は、
「去年落ちたからもう一度フル本科」
と決める前に、
本当に基礎講義まで買い直す必要があるのか
を考えた方がよいでしょう。
中上級でも「フル」と「ライト」は同じではない
アガルート中上級も、フル272,800円とライト184,800円に分かれています。
両方に含まれるのは、
- 演習総合講義
- 記述過去問解説
- 実力確認答練
- 模擬試験
- 重要法改正総ざらい
です。
フルにはさらに、
- 記述・択一パーフェクト12
- 択一過去問解説講座
が加わります。
差額は88,000円です。
前年の過去問教材があり、自分で択一過去問を回せるのであれば、
この8万8,000円分を本当に使うか
まで考えられます。
逆に、
「過去問はやったつもりだが、解説を読んでも知識が整理できない」
なら、フルに含まれる追加講座の意味が出てきます。
フルの方が豪華だから選ぶのではなく、追加される講座を使うかで選ぶ。
ここが再受験では重要です。
TACはさらに「択一が基準点付近」という線を引いている
TACの2027年「上級本科生」は、対象をかなり具体的にしています。
公式には、
「択一式が基準点付近の方向け」
です。
全63回で、択一・記述についてポイントを絞った解説と大量の問題演習を行うコースになっています。
これは講座選びの基準として使えます。
たとえば、
前年の択一が基準点から大きく離れている
のであれば、上級本科の想定受講者とはズレています。
逆に、
択一は基準点付近まで来ていて、次は記述と実戦力を上げたい
なら、入門から全部やり直すより上級本科の方が候補になります。
「択一は取れる、記述で落ちた」なら入門本科を買い直す前に止まる
司法書士再受験で最も避けたいのが、
記述が弱かっただけなのに本科を全部買い直す
ケースです。
アガルートには記述・答練パック162,800円があります。
さらに単科なら、
- 記述解法マスター:43,780円
- 記述過去問解説:54,780円
- 記述ひな形対策:10,780円
- 記述解法ベーシック:38,280円
と弱点別に分けられています。
つまり、
記述で点が取れない
だけでは本科を買い直す理由になりません。
さらに記述の中でも、
ひな形が出てこない
なら、ひな形・基本知識寄り。
問題は分かるが答案構成ができない
なら、解法講座寄り。
解けるが時間内に終わらない
なら、答練・実戦演習寄り。
と必要なものが変わります。
LECなら「インプットを付けず答練だけ」という選択肢もある
LECの2027年学習経験者向け商品を見ると、
- 精撰答練レギュラーパック:161,000円~
- 精撰答練フルパック:213,000円~
- S式+精撰答練レギュラーパック:201,000円~
- S式+精撰答練フルパック:253,000円~
と、インプットを付けるか、答練だけにするかが分かれています。
これは再受験者にとってかなり重要です。
前年の知識を使えるなら、
「今年は答練だけ買う」
という選択肢が実際に存在します。
反対に、重要論点のインプットも整理し直したいなら、S式付きの方を見る。
つまりLECでも、
全部入り本科を買う・買わない
の2択ではありません。
実際の受講者もTACとLECの答練を「解説内容」で比較している
LECの2027年精撰答練の商品レビューには、実際にTACの答練と比較した受講者の投稿があります。
その受講者は価格だけでなく、体験講義を聞き、
- TACは記述解説の比重が大きかった
- LECは択一と記述の両方に解説時間がある
- 自分は択一解説も十分聞きたい
という理由でLECを選んでいます。
これはかなり参考になります。
「LECの方が良い」「TACの方が良い」という話ではありません。
同じ答練でも、自分が必要としている解説内容によって選択が変わる
ということです。
ここまで比較して初めて、再受験者向けの講座選びになります。
伊藤塾にも「総合型」だけでなく弱点別講座がある
伊藤塾の2027年中上級講座も、一つの本科だけではありません。
現在、
- 択一過去問ブラッシュアップ講座
- 重要論点攻略ゼミ
- ケーススタディ記述式
などが用意されています。
つまり、
択一過去問の使い方が弱い人
と、
記述式を実戦的に補強したい人
では買う講座が違います。
しかも伊藤塾には質問制度があり、講義内容だけでなく勉強方法についても質問できる仕組みがあります。
このようなサポートを実際に使う人なら価値がありますが、
「質問はほぼしない」
という人なら、サポートの多さだけで講座を選ぶ必要はありません。
「去年の予備校で落ちたから乗り換える」は理由として弱い
再受験すると、
「去年の学校では合格できなかったから別の予備校にする」
と考えることがあります。
しかし、講座を変えれば合格に近づくとは限りません。
見るべきなのは、
前年講座と新講座の重複
です。
たとえば前年に、
- 主要科目インプット
- 過去問講義
- 記述基礎
- 模試
まで受けているのに、新年度も同じ構成を別の先生から聞くのであれば、費用に対して追加される学習内容が少ない可能性があります。
反対に、
前年はインプット中心だった
→ 今年は大量演習中心に変える
のであれば、乗り換える理由があります。
TACでは2027年中上級者向けについて、過去のTAC受講者への再受講割引だけでなく、他校受講経験者への乗り換え割引も用意しています。
アガルートにも受験経験者向け10%割引があり、入門・中上級・記述答練などが対象です。
ただし、
割引があるからその講座を選ぶ
のではなく、
必要な講座を決めたあと、その講座に使える割引を見る
順番にした方がよいでしょう。
合格特典のためにフルを選んでいないかも確認する
アガルートの2027年度司法書士合格特典は、
- 入門フル
- 中上級フル
- 速習カリキュラム
などが対象で、入門ライト・中上級ライト・演習総合講義単体などは対象外です。
ここも購入判断になります。
たとえば、
「中上級ライト184,800円で学習内容としては足りる」
のに、
「合格特典があるから272,800円のフルにする」
なら、88,000円を追加することになります。
特典を受けられれば魅力はありますが、
特典を目的に不要な講座まで買っていないか
は分けて考えた方がいいでしょう。
2回目の講座は「前年の失点」を起点に選ぶ
最終的には次の順番が分かりやすいです。
基礎が崩れている
→ 入門講座を再検討。
一通り学習済みだが択一が伸びない
→ 中上級・演習型。
択一は基準点付近
→ TAC上級本科など、学習経験者向けを検討。
択一は戦えるが記述が弱い
→ 記述・答練パックや記述単科。
知識はあるが本試験演習が不足
→ LEC精撰答練、TAC答練本科などアウトプット中心。
特定論点だけ弱い
→ 伊藤塾などの単科・ゼミ型も候補。
こうすると、
「司法書士2回目=予備校を選び直す」
ではなく、
「前年の不足部分だけ買う」
という考え方になります。
結論|入門を取り直すのは「基礎が完成していない人」
司法書士2回目でも、入門講座を取り直す意味はあります。
ただし、それは、
一度不合格だったから
ではありません。
基礎知識そのものが完成していないから
です。
一方で、すでに一通り学習している人には、2027年向けだけでも、
- アガルート中上級
- アガルート演習総合
- アガルート記述・答練
- TAC上級本科
- TAC答練本科
- LEC精撰答練
- LEC S式+精撰答練
- 伊藤塾の択一・記述別講座
という選択肢があります。
数十万円をもう一度払う前に、
「去年できなかったことは何か」
を具体的にしてください。
その答えが、
「基礎から分からない」なら入門。
「知識はあるが点にならない」なら中上級。
「記述だけ」なら記述対策。
「演習不足」なら答練。
です。
2回目だから入門をやり直すのではなく、不合格原因に必要な講座だけ買う。
これが再受験時の講座選びの基本になります。
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択一が基準点に届かない再受験者は入門・中上級のどちらへ進む?
次の記事では、「一通り勉強したが択一が伸びなかった人」に絞り、アガルート中上級、TAC上級系、伊藤塾の中上級講座などの対象者・講義内容・演習量の違いから、入門へ戻るラインと中上級へ進むラインを具体的に見ていきます。
出典
- アガルートアカデミー|司法書士試験対策講座
- アガルートアカデミー|演習総合講義/中上級カリキュラム
- TAC|2027年合格目標 上級本科生
- TAC|2027年合格目標 答練本科生
- TAC|2027年合格目標 答練本科生記述対策プラス
- TAC|司法書士講座
※2026年8月時点の情報です。