社労士試験を一度受験した人が2年目の講座を選ぶとき、
「もう一度入門講座から買い直すべき?」
「択一は取れたけれど、選択式で落ちた場合は何を追加する?」
「選択式は基準点を超えたけれど、択一が足りない場合は?」
と迷うことがあります。
社労士試験の再受験で重要なのは、
不合格だったから前年と同じ本科をもう一度買うことではありません。
まず前年の成績を、
- 択一式の総得点
- 択一式の科目別得点
- 選択式の総得点
- 選択式の科目別得点
に分けます。
社労士試験は、択一式・選択式ともに総得点だけでなく科目ごとの合格基準があります。
そのため、
「択一は合格圏なのに選択式1科目で不合格」
と、
「選択式は取れているのに択一が大きく不足」
では、2年目に買う講座が違います。
2026年度試験は2026年8月23日に実施されましたが、2026年8月27日時点では合格発表前です。
そこでこの記事では、最後に合格基準が確定している2025年度試験も参考にしながら、2年目の講座をどう組み直すかを整理します。
社労士試験は「総得点」だけでは講座を決められない
社労士試験は、
選択式
→ 8科目・40点満点
択一式
→ 7科目・70点満点
です。
合格基準は、選択式・択一式それぞれについて、
総得点基準+科目別基準
が設定されます。
どれか一つでも基準点に届かなければ、不合格になる可能性があります。
2025年度試験では、
選択式
→ 総得点22点以上
択一式
→ 総得点42点以上
が基準でした。
さらに科目別基準もあり、2025年度は原則として、
選択式
→ 各科目3点以上
択一式
→ 各科目4点以上
でした。
ただし2025年度は難易度補正により、
選択式では労災保険法・労一・社一が2点以上、
択一式では雇用保険法が3点以上
へ引き下げられています。
つまり、
択一50点・選択式30点
のように総得点が高くても、特定科目が基準点未満なら不合格になることがあります。
2年目は、
「何点だったか」より、「どの基準で止まったか」
を見ることが重要です。
公式資料
社会保険労務士試験オフィシャルサイト|第57回(令和7年度)社会保険労務士試験の合格基準及び正答
まず前年成績を4つに分ける
再受験で講座を買う前に、前年成績を次のように整理します。
| 確認項目 | 見るところ |
|---|---|
| 択一総得点 | 合格基準まで何点足りなかったか |
| 択一科目別 | 基準点未満の科目があったか |
| 選択式総得点 | 合格基準まで何点足りなかったか |
| 選択式科目別 | 1~2点だった科目があるか |
ここから、
基礎からやり直す人
中上級へ進む人
上級へ進む人
選択式や答練だけ追加する人
を分けます。
社労士2年目は、受験回数ではなく、この失点位置から講座を決めます。
択一30点未満なら入門レベルまで戻るか確認する
例えば、
択一
→ 25点前後
選択式
→ 複数科目で基準点未満
という状態です。
この場合は、
「2回目だから中上級」
と機械的に進まない方がよいでしょう。
社労士試験では、
- 労働基準法
- 労災保険法
- 雇用保険法
- 労働一般常識
- 社会保険一般常識
- 健康保険法
- 厚生年金保険法
- 国民年金法
など多数の科目を横断して学びます。
択一30点に届かない場合、
- 講義を最後まで完走していない
- 過去問を十分回していない
- 年金科目が未完成
- 一般常識まで手が回らなかった
という可能性があります。
アガルートの2027年向けでは、中上級について、
本試験択一式で30点以上
を一つの目安として明示しています。
したがって択一30点未満なら、
まず中上級の前提知識があるか
を確認します。
前年教材を使い切れていないだけなら、入門本科を新品で買うのではなく前年教材をやり直す方法もあります。
公式資料
アガルート|2027年合格目標 中上級総合講義/中上級カリキュラム
択一30点以上・知識の抜けが多いなら中上級を考える
アガルートの2027年中上級カリキュラムは、
- 学習経験がある
- 本試験択一式30点以上
- 知識の抜け漏れに不安がある
- 入門レベルの学習を一通り終えている
人を対象としています。
つまり、
一度勉強したけれど、まだ合格基準まで知識が安定していない人
向けです。
例えば、
択一32点
選択式24点
だったとしても、
健康保険
→ 弱い
厚生年金
→ 弱い
一般常識
→ 不安定
という状態なら、選択式単科だけ追加しても全体の穴は残ります。
このタイプは、
前年教材を全部捨てる
ではなく、
学習経験者向け講義で全体を再整理+アウトプット
という中上級が候補になります。
アガルートの中上級では、学習経験者向けに基礎的な説明を省き、得点につながる部分へ時間を使う構成になっています。
公式資料
アガルート|2027年合格目標 中上級総合講義/中上級カリキュラム
択一35~40点前後なら上級も候補になる
さらに合格へ近い人は、上級を検討できます。
アガルートの2027年上級カリキュラムは、
本試験択一式で35~40点ほど取れていて、アウトプット特化の学習をしたい人
を対象としています。
上級では、一から全範囲を説明するのではなく、
- 総まとめ
- 過去問
- オリジナル問題
- 判例
- 白書
- 法改正
などで仕上げます。
したがって、
択一38点
選択式も総得点はある程度取れている
ものの、
あと数点届かない
という人なら、
入門・中上級より、上級または演習中心
へ進みやすくなります。
ただし択一38点でも、
基本問題を大量に落としている
年金科目をほとんど理解できていない
なら、中上級で知識を再整理する方がよい場合があります。
点数だけで自動的に上級にはしません。
公式資料
アガルート|2027年合格目標 総まとめ講座/上級カリキュラム
択一は合格圏・選択式1科目だけで落ちたなら本科の買い直し優先度は低い
社労士再受験で特に判断しやすいのが、
択一
→ 合格基準以上
選択式総得点
→ 合格基準以上
しかし、
選択式の1科目だけ基準点未満
というケースです。
例えば、
択一45点
選択式27点
でも、特定科目が2点で、その年に基準点引下げがなければ不合格になることがあります。
この人は、
「社労士の知識が全然足りない」
とは言いにくいでしょう。
そのため、
前年テキスト
前年過去問
→ 継続
新年度
→ 選択式対策+法改正+白書+模試
という構成を検討できます。
LECの2027年中上級コースでも、直前対策として選択式対策が用意されています。
選択式1科目のために全科目を一から買い直す必要があるか
を先に考えるタイプです。
公式資料
LEC|2027年合格目標 年金キーパー+中上級コース/中上級コース
選択式だけ弱い人は「何科目で落としたか」も見る
選択式が弱い場合でも、
1科目だけ1~2点
と
複数科目で2点前後
では状況が違います。
1科目だけなら、
その科目の知識不足
白書・統計
選択式独特の穴埋め対応
など、限定された問題かもしれません。
一方、複数科目で基準点を割っているなら、
選択式の解き方以前に、全体の知識精度が足りない
可能性があります。
その場合は選択式単科だけではなく、中上級で知識を整理し直す選択肢が出てきます。
社労士試験では「選択式が苦手」という結果だけでなく、
どの科目で、何科目落としたか
まで見ます。
択一が基準点未満・選択式は取れているなら択一を優先する
反対に、
選択式
→ 総得点・各科目とも基準突破
択一
→ 35点
というケースです。
この場合、
「選択式が怖いから選択式対策を増やす」
より先に、択一を上げる必要があります。
例えば、
健康保険
厚生年金
国民年金
など複数科目で5~6点しか取れていないなら、
択一で安定して基準点を超えるための知識・問題演習
が必要です。
LECの2027年中上級コースも、基礎をマスターした中上級者について、インプットの総復習と改正法対応だけでなく、アウトプット力の養成へ時間配分を増やす構成です。
過去10年分の択一式・選択式過去問を収録した一問一答過去問BOOKや、確認テスト、本試験予想答練などを使います。
公式資料
LEC|2027年合格目標 年金キーパー+中上級コース/中上級コース
択一も選択式も合格圏近くなら答練中心へ移せる
例えば前年が、
択一40点前後
選択式25点前後
で、数点不足だった場合です。
この段階になると、
新しい知識を大量に入れる
より、
- 初見問題
- 横断整理
- 法改正
- 白書
- 選択式
- 模試
を増やす方が合うことがあります。
TACの2027年「上級演習本科生」は、
ある程度知識のある受験経験者向けに、演習+解説講義へ特化
したコースです。
全64回で、早い時期から専用のハイレベル演習問題を使い、実践力を高める構成です。
このように、
合格圏に近づくほど「講義を全部買う」から「演習を買う」へ移る
選択肢があります。
公式資料
一般常識・白書だけ弱いなら全科目本科は大きすぎることがある
社労士試験では、
労一
社一
が不安になりやすい科目です。
特に選択式では、
白書
統計
法改正
一般常識
など、過去問だけでは補いにくい情報もあります。
前年、
労働法・社会保険科目
→ 安定
一般常識だけ
→ 基準点未満
だった場合は、
全科目本科を買う前に、
白書・法改正・選択式対策だけ追加できないか
を確認します。
LECの中上級コースでは、出題傾向や法改正情報を踏まえながら総復習とアウトプットを進める構成になっています。
前年教材を使い続ける場合でも、年度で変わりやすい白書・法改正情報は新年度版で補う必要があります。
公式資料
LEC|2027年合格目標 年金キーパー+中上級コース/中上級コース
年金科目だけ弱いなら科目別の失点を先に見る
例えば、
労働科目
→ 安定
健康保険
→ 安定
厚生年金・国民年金
→ 大きく失点
という人です。
この場合、
「択一が低かった」
という総得点だけで全科目をやり直すと、得意科目へも大量の時間を使います。
まず、
- 厚生年金
- 国民年金
で何点落としたか確認します。
年金の基本知識そのものが弱いならインプット補強。
過去問は取れるのに本試験で落とすなら答練・横断整理。
と分けます。
2年目は、
択一35点だったから全科目中上級
ではなく、
35点の内訳から、どこを買うか
を決めます。
前年教材を残して追加しやすいもの
前年の基本教材を使い続ける場合、2年目に新しくする価値が高いものは、
- 法改正
- 白書
- 最新年度の本試験
- 新年度答練
- 選択式対策
- 模試
です。
基本テキストをすべて変更しなくても、年度によって変化する情報と初見問題だけ新しくできます。
特に社労士は、
法改正・白書・一般常識
が年度依存しやすいため、前年教材を使うならこの部分の更新は確認してください。
2年目に全部買い直した方がよい人
反対に、
- 択一30点未満
- 選択式も複数科目で低得点
- 講義を最後まで受けていない
- 過去問を十分回していない
- 年金科目などが未完成
- 前年教材自体が合わなかった
のであれば、部分補強だけでは足りない可能性があります。
この場合は、
前年教材をやり直す
または
入門・中上級へ組み直す
ことを検討します。
大切なのは、
再受験だから講座を小さくすることではありません。
前年の土台が残っていれば小さくする。
土台ができていなければ全体を作り直す。
という判断です。
成績別に2年目の講座を整理すると
| 前年の状態 | まず検討する構成 |
|---|---|
| 択一30点未満・学習未完成 | 入門再構築 |
| 択一30点以上・知識に穴が多い | 中上級 |
| 択一35~40点前後・基本安定 | 上級・演習中心 |
| 択一基準突破・選択式1科目不足 | 選択式+白書・法改正+模試 |
| 選択式安定・択一不足 | 択一補強+答練 |
| 一般常識だけ弱い | 白書・法改正・選択式対策 |
| 択一・選択式とも合格圏近く | 答練+模試中心 |
| 複数科目で基礎不足 | 中上級または入門再構築 |
これは社労士試験の公式な講座区分ではありません。
前年の失点から、買い直す範囲を決めるための目安です。
社労士2回目はこの順番で買い直すものを決める
- 択一式の総得点を見る
- 択一式の科目別得点を見る
- 選択式の総得点を見る
- 選択式で基準点未満だった科目を見る
- 知識不足か本試験対応不足かを分ける
- 前年教材で残せる部分を決める
- 弱点が限定されていれば選択式対策・答練などを追加する
- 弱点が全体に広がっていれば中上級・入門を検討する
社労士試験では、
択一の合計だけでも、選択式の合計だけでも足りません。
必ず科目別まで見ます。
本科を買う前に「どこで不合格になったか」を確認する
社労士2年目で一番避けたいのは、
不合格
↓
前年より高い本科を購入
と先に決めることです。
択一が十分取れているなら、択一講義を一から買い直さない。
選択式1科目だけなら、選択式・白書・法改正を中心に補う。
択一だけ弱いなら択一・答練へ寄せる。
全科目の基本知識に穴があるなら中上級。
学習自体が未完成なら入門へ戻る。
と分けます。
2年目は「どの講座が一番いいか」ではなく、「前年のどの失点を直すために何を買うか」で決める。
この順番なら、前年にできていた部分まで全部買い直すことを避けやすくなります。
出典
この記事は、2026年8月時点の試験情報・各講座公式情報をもとに作成しています。
社会保険労務士試験オフィシャルサイト「試験の概要」、社会保険労務士試験オフィシャルサイト「第57回(令和7年度)社会保険労務士試験の合格基準及び正答」、アガルート「2027年合格目標 入門カリキュラム」、アガルート「2027年合格目標 中上級総合講義/中上級カリキュラム」、アガルート「2027年合格目標 総まとめ講座/上級カリキュラム」、LEC「2027年合格目標 年金キーパー+中上級コース/中上級コース」、TAC「2027年合格目標 上級演習本科生」
