この記事では、司法書士試験で午前・午後の択一式は基準点を超えたものの、記述式で不合格だった人が、2年目に本科を買い直さず、
記述講座+答練+模試
を中心に組み直す方法を整理します。
司法書士試験で、
「択一は基準点を超えたのに記述で落ちた」
「もう一度入門本科を買い直す必要はある?」
「記述だけ強化したいなら何を買えばいい?」
と迷うことがあります。
このタイプは、再受験者の中でも比較的「買い直す範囲」を絞りやすい状態です。
前年に午前・午後の択一式で基準点を超えているなら、
基礎知識を一から入れ直すことより、記述式を本試験で得点できる形へ変えること
を優先しやすくなります。
ただし、
記述で不合格
=
記述答練だけ買えばよい
とも限りません。
記述の弱さには、
- そもそも解法が分からない
- 事実関係から論点を拾えない
- 申請すべき登記を判断できない
- 答案の型が安定しない
- 時間内に書き終わらない
- 初見問題になると崩れる
など、いくつか種類があります。
そのため2年目は、
「記述講義が必要なのか」「答練量を増やせばよいのか」「模試で時間配分を直すのか」
を分けて考えます。
択一が基準点を超えているなら入門本科を買い直す優先度は低い
司法書士試験では、午前択一・午後択一・記述式のそれぞれに基準点があります。
2025年度は、
午前択一
→ 105点中78点
午後択一
→ 105点中72点
記述式
→ 140点中70点
が基準点でした。
さらに筆記試験合格点は、
350点中255点
でした。
つまり、各基準点を突破するだけでは足りず、そこから総合点を上積みする必要があります。
一方、午前・午後択一の両方で基準点を超えているなら、
「択一の基礎知識が全くできていない」
状態とは言いにくくなります。
この場合、2年目に、
入門講義
↓
全科目講義
↓
過去問
↓
記述
と一から戻るより、
前年の択一教材を維持しながら、記述へ時間と予算を移す
方が合理的なことがあります。
公式資料
記述式は140点ある
司法書士試験の記述式は、2024年度から配点が変更されています。
以前は、
不動産登記法+商業登記法
→ 2問70点
でした。
現在は、
2問140点
です。
午後の試験時間は3時間のままです。
つまり、現在の司法書士試験では記述式の比重が大きくなっています。
択一で基準点を超えた人ほど、
「択一をさらに何問上げるか」
だけでなく、
記述で大きく失点しないこと
が重要になります。
公式資料
まず「記述でなぜ点が取れなかったか」を分ける
記述が低かった理由を、
全部まとめて「記述が苦手」
にしないことが重要です。
大きく分けると、次の3タイプがあります。
1.解法そのものが分からない
- 問題文をどこから読むか決まっていない
- 登記すべき事項を拾えない
- 別紙・資料の処理方法が定まっていない
- 答案作成の順序が毎回違う
このタイプは、
記述講座+演習
を優先します。
2.解けるが時間内に終わらない
家で時間をかければ解けるものの、
- 午後択一に時間を使いすぎる
- 記述1問目で時間を使う
- 最後まで答案を書けない
というタイプです。
この場合は、
答練+模試
を増やし、本試験時間内で処理する練習を優先します。
3.問題によって得点が大きく変わる
過去問では解けるものの、初見問題では崩れるタイプです。
この場合も、
新作問題・答練・模試
を増やします。
解法が固まっていないなら記述講座を追加する
記述式を解くとき、
「毎回何となく問題文を読んでいる」
という状態なら、答練を大量に受ける前に解法を整理する意味があります。
TACの2027年合格目標「答練本科生記述対策プラス」では、記述式対策を、
理論編
↓
実践編
↓
実践総合編
の3段階に分けています。
また、記述式対策講座を全26回用意し、
- 解法の体系化
- 論点別演習
- フルサイズ問題
へ進む構成です。
つまり、
記述の型そのものがない人は、答練だけより「解法講義+答練」の組み合わせ
を検討しやすくなります。
公式資料
「知識はあるのに手が止まる」人向けの記述パックもある
アガルートの2027年合格目標「記述・答練パック」は、
択一過去問を終えていて、記述の基準点突破を目指す学習経験者
を対象にしています。
公式ページでも、
- 知識はあるのに記述で手が止まる
- 時間内に書ききれない
といった悩みを挙げています。
つまり、
択一知識は一定程度ある
↓
しかし記述で答案に変換できない
という人を明確に対象にした講座です。
このタイプなら、
入門本科をもう一度全部買うより、記述に特化したパックを追加する
という選択肢があります。
公式資料
記述の考え方自体が不安なら単科講座も選べる
フルパックまで必要ない場合は、記述単科という選択肢もあります。
TACでは2027年向けに、
オートマチックシステム記述式講座
を用意しています。
この講座では、
- 問題冊子を受け取る
- 問題を読む
- 必要な情報を整理する
- 合格答案を作る
までの工程を時系列で整理し、解法を定型化することを目的にしています。
つまり、
「答練を受けても毎回解き方が違う」
という人なら、
記述単科
+
答練
という組み方もできます。
公式資料
解法は分かるなら講義より答練を優先する
一方、
- 不動産登記法の答案構成はできる
- 商業登記法も申請事項を判断できる
- 過去問は一定程度解ける
- 家で解けば点が取れる
のであれば、長時間の記述講義を追加する必要性は下がります。
このタイプに必要なのは、
初見問題を時間内に処理する練習
です。
TACの2027年向け「答練本科生」は、
- 択一1,120問
- 記述56問
を扱う構成になっています。
記述式についても各答練で問題が出され、時間配分を意識した練習ができます。
したがって、
前年教材
+
答練本科
+
模試
という構成も候補になります。
公式資料
記述で落ちた人こそ「初見問題」を増やす
記述過去問を何周もすると、
- 登記すべき事項
- 問題の仕掛け
- 答案
を覚えてきます。
それ自体は復習として必要ですが、
「初めて見る問題を解く力」
とは別です。
本試験では当然、新しい事案が出ます。
そのため2年目は、
前年記述過去問
→ 基礎・論点確認
新年度答練
→ 初見問題
と役割を分けます。
TACの答練本科生も、初見問題を多く解き実戦力を高めたい人を対象にしています。
公式資料
時間内に終わらないなら模試は外さない
記述で不合格だった人の中には、
「知識不足というより時間が足りなかった」
という人もいます。
司法書士試験午後の部では、
午後択一
+
記述2問
を3時間で処理します。
記述の配点が140点に増えても、試験時間は3時間のままです。
そのため、
- 午後択一を何分で終えるか
- 不動産登記法に何分使うか
- 商業登記法に何分使うか
- 見直し時間を残せるか
を本番形式で確認する必要があります。
模試は、
記述だけでは再現できない午後全体の時間配分
を見るために使います。
公式資料
午後択一に時間を使いすぎているなら択一も少し直す
「記述で落ちた」
という結果でも、原因が記述そのものとは限りません。
例えば、
午後択一
→ 基準点は超えた
しかし
→ 90分使った
残り時間
→ 記述2問に不足
という場合です。
このタイプは、
記述講座だけ追加
では解決しない可能性があります。
必要なのは、
午後択一を基準点以上で、より短時間に処理すること
です。
その場合は、
- 択一過去問
- 時間制限付き問題演習
- 答練
も並行します。
つまり、
択一で基準点を超えた=択一は一切触らなくてよい
ではありません。
得点だけでなく、何分で取れたかまで見ます。
択一教材は前年のものを残しやすい
午前・午後とも基準点を超えたなら、前年の、
- 基本テキスト
- 択一過去問
- 自分のまとめ
- 間違いノート
は残しやすくなります。
2年目は択一について、
前年教材
↓
維持・弱点補強
とし、
新たな予算は、
- 記述講座
- 答練
- 模試
- 法改正
へ回す方法があります。
ただし前年の択一が基準点ギリギリで、
「毎回基準点を超えられる状態ではない」
のであれば、択一も答練の中で維持します。
「基準点超え」と「十分な得点」は違う
ここは注意が必要です。
2025年度は、
午前基準点78点
午後基準点72点
記述基準点70点
でした。
この3つを合計すると、
220点
です。
しかし筆記試験合格点は、
255点
でした。
つまり、各基準点をちょうど超えただけでは、
35点足りません。
そのため、
択一基準点突破
↓
択一は完成
とは言えません。
例えば、
午前78点
午後72点
でぎりぎり基準点を超え、記述も低いのであれば、
記述だけで35点以上を上積みする
のは負担が大きくなります。
この場合は、
択一を数問上積みしながら記述を強化
する方が安定します。
公式資料
択一が余裕で基準点超えなら記述へ大きく寄せる
一方、
午前
→ 基準点より十分上
午後
→ 基準点より十分上
記述
→ 基準点未満
という状態なら、優先順位は明確です。
このタイプは、
択一
→ 維持
記述
→ 大幅強化
とします。
例えば、
前年テキスト
+
前年択一過去問
+
記述講座
+
記述答練
+
模試
という構成です。
高額な初学者向け本科を買い直すより、
記述に直接効く教材へ予算を集中
しやすい状態です。
記述講座+答練+模試を全部買う必要がある?
これも人によります。
解法から弱い
記述講座
+
答練
+
模試
解法はあるが初見に弱い
答練
+
模試
初見でも解けるが時間不足
答練
+
模試
特定論点だけ弱い
記述単科
+
答練
という選択ができます。
つまり、
「記述で落ちた人向けセット」を全部買うのではなく、どこから補う必要があるか
で決めます。
本科を買わないなら法改正を別に補う
前年本科をそのまま使う場合は、新年度の法改正対策を忘れないようにします。
答練パックの中に法改正対策が含まれている場合もあります。
例えばTACの2027年答練本科生系には、
法改正対策講座
が含まれています。
そのため、
前年教材
+
新年度答練
という構成でも、法改正部分を補える場合があります。
何がセットに含まれているか確認してください。
公式資料
具体例|択一基準点超え・記述基準点未満
例えば前年が、
午前択一
→ 基準点+5問
午後択一
→ 基準点+3問
記述
→ 基準点未満
だったとします。
さらに、
記述過去問
→ 解説を見れば理解できる
本試験
→ 時間内に最後まで書けなかった
のであれば、
入門本科
→ 買い直さない
択一教材
→ 前年教材を維持
記述
→ 答練中心
模試
→ 必ず追加
という構成が候補になります。
一方、
記述問題を見ても何を登記すべきか分からなかった
のであれば、
記述講座を先に追加
します。
具体例|択一も基準点ぎりぎり・記述も低い
例えば、
午前
→ 基準点ちょうど
午後
→ 基準点+1問
記述
→ 基準点未満
です。
この場合、
「択一は突破したから記述だけ」
と完全に切り替えるのは少し危険です。
翌年の問題によっては択一基準点を下回る可能性があります。
そのため、
前年択一教材
+
全科目答練
+
記述講座または記述答練
+
模試
という構成を検討します。
択一を維持しながら記述を強化する
形です。
記述の復習では「点数」だけを見ない
答練を受けた後、
「35点だった」
「50点だった」
だけを見るのでは足りません。
間違いを、
- 論点を知らなかった
- 事実を読み落とした
- 登記順序を間違えた
- 申請人を間違えた
- 添付情報を落とした
- 登録免許税を間違えた
- 時間不足で書けなかった
などに分けます。
これによって、
講義へ戻るべきミス
と
演習を増やすべきミス
を分けられます。
2年目は、
答練を受けることより、答案の崩れ方を分類すること
が重要です。
2年目の記述対策は「量だけ」でもない
記述で落ちると、
「今年は100問解く」
のように演習量を増やしたくなります。
もちろん問題量は必要です。
ただし、
同じ間違いを繰り返す
↓
さらに問題を解く
だけでは効率がよくありません。
1問ごとに、
- なぜ登記を拾えなかったか
- どの資料を見落としたか
- どの順番で処理すべきだったか
- 何分使ったか
を確認します。
解法を固定してから、量を増やす
方が安定しやすくなります。
再受験で買うものを整理
択一基準点突破・記述不合格の人なら、優先順位は次のように考えられます。
| 状態 | 前年教材 | 追加候補 |
|---|---|---|
| 記述解法が分からない | 択一教材は残す | 記述講座+答練+模試 |
| 解法はあるが点が安定しない | 残す | 記述答練+模試 |
| 時間内に終わらない | 残す | 答練+模試 |
| 午後択一に時間を使いすぎる | 残す | 全科目答練+記述演習 |
| 択一も基準点ぎりぎり | 残す | 答練+記述補強 |
| 択一は余裕あり | 残す | 記述へ大きく重点配分 |
つまり、
本科を買うかどうかではなく、記述のどこが弱いのか
で追加教材を決めます。
本科を買い直さない判断がしやすい人
次の項目が多く当てはまるなら、本科を丸ごと買い直す優先度は低くなります。
- 午前択一基準点突破
- 午後択一基準点突破
- 主要4科目の基礎は理解している
- 択一過去問を十分回している
- 前年テキストを今後も使える
- 記述が明確な失点源
- 法改正だけ別途補える
この場合は、
前年教材を土台に、新年度の記述・答練・模試を追加する
という組み方をまず検討できます。
司法書士で択一基準点超え・記述不合格ならこの順番で決める
最後に整理します。
STEP1 択一がどれくらい基準点を超えていたか確認する
ぎりぎりか、余裕があるかを見ます。
STEP2 記述の得点を見る
基準点までどれくらい離れていたか確認します。
STEP3 記述の失点原因を分類する
解法不足
時間不足
初見対応不足
知識不足
に分けます。
STEP4 前年択一教材を残す
基本テキスト・過去問を維持します。
STEP5 必要な記述講座だけ追加する
解法不足なら講義を入れます。
STEP6 答練を追加する
初見問題を増やします。
STEP7 模試で午後3時間を確認する
択一+記述2問をまとめて処理します。
つまり、
「択一は通ったのに不合格だったから、もう一度本科」ではありません。
前年の択一教材を残し、
記述の解法
+
初見問題
+
午後3時間の実戦練習
へ予算と時間を移すのが、2年目の有力な組み方です。
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択一が基準点を超えているなら記述に予算を移す
午前・午後の択一で基準点を超えたのに、記述で不合格だった場合、
初学者向け本科を全部買い直す必要性は低くなります。
まず前年の択一教材を残します。
そのうえで、
記述の解法が弱い
→ 記述講座
初見問題が弱い
→ 答練
時間配分が弱い
→ 答練+模試
択一もぎりぎり
→ 全科目答練で維持
と組み分けます。
2年目は、
できている択一をもう一度最初から学ぶより、不合格原因となった記述へ時間と予算を移す
ことを考えてください。
出典
この記事は、2026年8月時点の試験情報・各講座公式情報をもとに作成しています。
法務省「令和8年度司法書士試験」、法務省「令和7年度司法書士試験筆記試験の合格点等について」、法務省「司法書士試験筆記試験記述式問題の配点の変更について」、アガルート「2027年合格目標 記述・答練パック」、TAC「2027年合格目標 答練本科生」、TAC「2027年合格目標 答練本科生記述対策プラス」、TAC「オートマチックシステム記述式講座」
