不動産鑑定士の前年短答教材を使うなら何を新しくする?法改正・答練・模試の追加方法

不動産鑑定士の短答式をもう一度受けるとき、前年に使ったテキストや過去問題集が手元に残っていると、

「全部最新版へ買い替える必要があるのか」

と迷います。

結論からいうと、前年教材をそのまま捨てて、短答本科を最初から買い直す必要があるとは限りません。

ただし、前年教材だけで翌年の本試験まで進むのも注意が必要です。

特に更新を確認したいのは、

法改正への対応。

新しく加わった本試験問題。

現在年度の答練。

現在年度の公開模試。

です。

基本テキストは前年版を使いながら、この部分だけ新しくする方法があります。

前年教材を使える部分と新しくしたい部分を分ける

まず、短答教材を全部同じように扱わないことが重要です。

教材・対策前年版を使う判断新しくする優先度
基本テキスト内容に変更がなければ復習に使える中
鑑定評価基準試験年度の対象内容を確認する高
行政法規法改正確認が必要高
過去問題集既存年度はそのまま使える中
最新年度の本試験問題前年教材には入っていない高
答練現在年度のものを追加したい高
公開模試現在年度版を受けたい高

つまり、

「テキストを全部買い直す」

ではなく、

「古くなる部分だけ更新する」

という考え方です。

一番注意したいのは行政法規の法改正

前年教材を使う場合、特に確認したいのが不動産に関する行政法規です。

不動産鑑定士の短答式では、都市計画法、建築基準法、国土利用計画法、農地法、不動産登記法、各種税法など、多数の法令が出題範囲に含まれます。

これらは改正される可能性があります。

実際、国土交通省の令和8年不動産鑑定士試験受験案内では、各科目について「令和7年9月1日時点で施行されているもの」を出題対象としていました。

つまり、本試験では試験年度ごとに基準となる時点が設定されます。

前年版テキストを使うなら、

前年に覚えた条文や数字をそのまま翌年も使う

のではなく、

翌年度の受験案内が出た段階で、その年度の出題対象を確認する

必要があります。

2027年試験についても、正式な受験案内が公開されたら対象時点を確認してから最終調整するのが安全です。

法改正だけ新しい講座で補う方法もある

前年の行政法規テキストをほぼ理解できているなら、基本講義をもう一度全部受ける以外にも方法があります。

TACでは短答対策のカリキュラムに「法改正点テキスト」を含むコースがあります。

また、直前対策では、法改正点講義と短答式直前答練、全国公開模試を組み合わせた短答直前パックが設定される年度があります。

LECの2027年向け「行政法規速習コース」も、行政法規について「改正対応済」のインプットとアウトプットを組み合わせた構成です。

前年教材を土台にして、

法改正部分だけ最新版で補う。

現在年度の問題演習を追加する。

という買い方ができます。

鑑定理論も前年版を無条件で使わない

鑑定理論は行政法規ほど「法律改正」の印象が強くないため、

「前年教材でそのまま大丈夫」

と考えやすい科目です。

ただし、短答式の出題範囲は、不動産鑑定評価基準と不動産鑑定評価基準運用上の留意事項です。

国土交通省の受験案内では、これらの諸規程についても出題対象となる時点を定めています。

したがって前年版を利用する場合でも、

不動産鑑定評価基準。

運用上の留意事項。

について変更がないか確認します。

変更がなければ、すでに書き込みやマーカーを入れた前年教材を使い続けるメリットがあります。

逆に改正があれば、その箇所だけでも現在年度の内容へ更新する必要があります。

過去問は前年版を捨てる必要はない

過去問題集は少し考え方が違います。

前年版に収録されている過去問そのものが、年度が変わっただけで使えなくなるわけではありません。

すでに持っている問題は、そのまま演習に使えます。

不足するのは、

前年教材を購入した後に実施された最新の本試験問題

です。

国土交通省では、短答式について過去の本試験問題と正解を公開しています。

そのため、前年版の問題集を持っているなら、

前年版問題集
+
最新年度の本試験問題

という組み合わせも可能です。

最初から過去問題集を全部買い直す前に、最新版で何年度分が追加されるのかを確認したほうがよいでしょう。

最新年度の問題だけは一度解いておく

前年教材を利用するなら、直近の本試験を抜かさないことが重要です。

たとえば2027年試験を受けるのであれば、2026年の短答式本試験は前年版教材に入っていない可能性があります。

国土交通省では2026年の短答式について、

不動産に関する行政法規。

不動産の鑑定評価に関する理論。

それぞれの問題と正解を公開しています。

新しい問題集を購入しない場合でも、公式問題を使って、

前年と出題傾向が変わっていないか。

知らない改正論点が出ていないか。

前年教材だけで解けるか。

を確認できます。

ここで前年教材では対応できない部分が多いと分かったら、初めて最新版教材の購入を検討しても遅くありません。

答練は現在年度のものを追加する意味がある

前年教材を使う人でも、答練まで前年のものだけで済ませるかは別に考えたいところです。

一度解いた答練は、

問題を覚えている。

選択肢を見れば答えを思い出す。

という状態になりやすいためです。

知識確認には使えても、本番で初見問題を判断する練習としては弱くなります。

そのため、

テキストは前年版。

過去問も前年版を継続。

答練だけ現在年度版。

という組み合わせには意味があります。

TACの2027年向け短答本科生でも、短答式基礎答練、短答式直前答練、全国公開模試がカリキュラムに含まれています。

つまり予備校側も、テキスト学習だけではなく、本試験年度に合わせた問題演習を別工程として置いています。

模試は前年版では代用しにくい

前年教材を再利用する場合でも、模試は現在年度版を受けたい対策です。

TACは全国公開模試について、本試験と同一形式で行い、本試験の疑似体験と全国規模での実力診断に使うものとしています。

模試の目的は知識を増やすことだけではありません。

時間内に全問を処理できるか。

分からない問題を飛ばせるか。

行政法規と鑑定理論で時間配分が崩れないか。

現在の受験者の中でどの位置にいるか。

を確認できます。

前年の模試を自宅でもう一度解いても、問題を覚えていればこの確認はできません。

基本教材を買い直さない場合でも、今年度の模試には費用を回すという考え方があります。

全部買い直す前に3段階で考える

前年教材を持っている人は、次の順番で不足を確認すると整理しやすくなります。

1.前年テキストで基礎を復習する

まず行政法規と鑑定理論を前年教材で解き直します。

基本事項をかなり忘れているなら、教材の新旧以前に再インプットが必要です。

逆に内容を覚えているなら、その教材を引き続き土台にできます。

2.変更部分と最新問題を追加する

次に、

法改正。

鑑定評価基準等の変更。

最新年度の本試験。

を追加します。

ここで前年版との差を埋めます。

3.新作の答練・模試で確認する

最後に、現在年度の答練や公開模試を使います。

初見問題で合格水準に達しているなら、基本教材を全部買い直さなくても学習を組めていたことになります。

反対に、新しい問題になると大きく点数が落ちるなら、講義や最新テキストまで戻ることを検討します。

前年教材+追加購入で済みやすい人

次のような人は、全部入りの短答本科を買い直さずに済む可能性があります。

前年に基本講義を最後まで受講した。

テキストの内容はある程度覚えている。

過去問も複数回解いている。

不足しているのは法改正と新しい問題への対応。

模試で現在の実力を確認したい。

この場合は、

前年テキスト
+
法改正対策
+
最新年度問題
+
今年度答練
+
今年度模試

という形を検討できます。

本科を取り直したほうがよい人もいる

一方、前年教材を持っているだけで、実際には十分に使えていない場合があります。

講義を途中までしか受けていない。

過去問をほとんど回していない。

行政法規の基本的な制度から忘れている。

鑑定理論の基準を読み直しても理解できない。

この状態なら、

「教材は持っているから追加講座だけで済ませよう」

と無理に削る必要はありません。

前年教材を消化できなかった原因も含めて、もう一度カリキュラムで管理してもらうほうが進めやすい場合があります。

大切なのは、前年教材を持っているかではなく、

前年教材で現在も問題を解けるか

です。

短答合格済みなら、そもそも短答教材の更新が必要か確認する

もう一つ重要な分岐があります。

前年の短答式試験に合格している場合です。

不動産鑑定士試験では、短答式試験に合格すると、その後2年間は短答式試験が免除され、論文式試験から受験できます。

短答免除期間に論文式だけを受験するのであれば、

「翌年用の短答教材をどう更新するか」

自体を考える必要がない場合があります。

この場合は短答教材の買い替えより、論文講義・答練・添削へ費用と時間を回すほうが試験制度に合っています。

前年短答教材の更新を考える前に、

次回も短答式を受けるのか。

短答免除で論文式から受けられるのか。

を確認してください。

結論|前年教材は残し、古くなるところだけ新しくする

不動産鑑定士の前年短答教材は、年度が変わっただけですべて捨てる必要はありません。

基本テキストや既に収録されている過去問は、復習用として利用できます。

その一方で、

行政法規の法改正。

鑑定評価基準等の変更。

最新年度の本試験問題。

現在年度の答練。

現在年度の公開模試。

は新しくする優先度が高くなります。

まず前年教材を使ってみる。

変更点を補う。

新作問題で実力を測る。

それでも足りなければ新しい講義や本科へ戻る。

この順番なら、「年度が変わったから全部買い直す」より、必要なところへ費用を使いやすくなります。

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買い直す前に前年教材で1回解いてみる

新年度になったら、すぐに最新版一式を注文する必要はありません。

まず前年教材から問題を解き、

基礎を忘れているのか。

法改正だけ補えばよいのか。

新しい問題演習だけ足りないのか。

を確認します。

その結果から、法改正講座・答練・公開模試・最新版教材のどこまで追加するかを決めれば、重複購入を減らせます。

出典

国土交通省|不動産鑑定士試験、国土交通省|不動産鑑定士試験 試験実施情報、国土交通省|不動産鑑定士試験 試験結果情報、TAC|2027年合格目標 短答本科生、TAC|不動産鑑定士 オリジナル教材、LEC|2027年合格目標 行政法規速習コース

この記事は、2026年8月時点の国土交通省・各資格スクールの公開情報をもとに作成しています。