不動産鑑定士の勉強を始めるとき、
「最初は短答講座だけ買って、合格してから論文講座を追加する」
という方法があります。
一方で、短答式と論文式をまとめた全部入り本科を最初から契約する方法もあります。
短答に受かるか分からない段階で高額な本科を買うのはためらう。
しかし、分けて買うと最終的に高くなるのではないか。
論文の勉強開始が遅くならないか。
この違いが判断しにくいところです。
結論からいうと、
短答合格をまず優先したい、途中で撤退する可能性もあるなら短答→論文の分割購入。
1年で短答・論文まで狙い、十分な学習時間を確保できるなら全部入り本科。
という分け方が基本になります。
ただし、「全部入りなら必ず安い」とも限りません。
2027年向け講座を見ると、学校によって料金体系も、短答と論文を始める時期もかなり違います。
短答→論文で分けて買うと何が変わる?
分割購入では、まず短答式に必要な講座だけ契約します。
短答に合格したら、次に論文式講座を追加します。
つまり、
短答講座
↓
短答合格
↓
論文講座を追加
↓
論文式合格を目指す
という流れです。
全部入り本科では、最初から短答と論文の両方が契約に含まれます。
短答を勉強しながら民法・経済学・会計学などの論文学習も始めるため、
短答
+
論文
を並行して進めます。
違いは単に「2回に分けて支払うか」ではありません。
学習開始時期そのものが変わります。
比較すると一番違うのは論文学習を始める時期
| 比較 | 短答→論文で購入 | 全部入り本科 |
|---|---|---|
| 最初に買う範囲 | 短答のみ | 短答+論文 |
| 最初の負担 | 小さくしやすい | 大きくなりやすい |
| 短答への集中 | しやすい | 論文との並行が必要 |
| 論文開始 | 短答後になりやすい | 早く始められる |
| 1年最終合格 | 狙いにくくなる場合あり | 狙いやすい |
| 短答不合格時 | 論文講座を買わずに済む | 論文部分も契約済み |
| 合格後の講座選択 | その時点で選び直せる | 最初にほぼ決まる |
| 教材管理 | 段階ごとで少ない | 一度に増えやすい |
ここで重要なのは、「短答だけ先に買う=安い方法」と決めつけないことです。
分割購入の一番大きな特徴は、最終的な総額より、
まだ必要か分からない論文講座を最初から買わずに済む
ことです。
短答だけ先に買うと最初のリスクを小さくできる
初めて不動産鑑定士を勉強する場合、
仕事をしながら続けられるか。
行政法規や鑑定理論と相性が合うか。
予定どおり勉強時間を確保できるか。
短答式までたどり着けるか。
は始める段階では分かりません。
この状態で短答+論文の大型本科を契約すると、途中で学習を中断しても論文部分まで購入済みです。
短答だけなら、まず必要な範囲へ費用を限定できます。
実際、LECの2027年向けには「短答合格コース」があり、「まず2027年短答に合格して論文学習に専念できる土台を作る」という位置付けです。
TACにも2027年向け「短答本科生」があり、短答式合格実績が2年間有効になる制度を利用して、まず短答式だけに照準を絞るコースになっています。
「本当に続けられるか分からないので、まず短答まで」
という人には、この買い方が合います。
ただし短答合格後に論文をゼロから始めると時間差が出る
分割購入には弱点もあります。
短答式に合格してから初めて、
民法。
経済学。
会計学。
論文式の鑑定理論。
を本格的に始めると、その年の論文式までの準備期間が短くなります。
LECが2027年向けに、
短答合格コース
だけでなく、
短答+論文基礎コース
を用意しているのもこのためです。
短答+論文基礎コースは、短答合格を中心にしつつ、論文のインプットを先取りする構成です。
その後、学習進度に応じて論文アウトプット講座を追加できると案内されています。
つまり、
完全に短答だけ。
短答+論文基礎まで。
短答+論文を全部同時。
の3段階で考えることもできます。
1年で最終合格を狙うなら全部入りの意味が大きくなる
短答式と論文式を同じ年に突破したいなら、論文対策を短答合格発表まで待たないほうが学習時間を確保できます。
LECの「短答+論文フルコース」は、2027年に短答と論文を同時並行で学び、1年で最終合格を目指す設計です。
TACの2027年向け「1年本科生」も、1年間で短答式・論文式の突破を狙うコースになっています。
このタイプでは、
行政法規。
鑑定理論。
民法。
経済学。
会計学。
論文答案作成。
を計画的に並行させます。
自分で短答と論文の開始時期を調整しなくても、予備校のカリキュラムに沿って進められるのが全部入り本科の利点です。
全部入りは学習時間を確保できる人向け
全部入り本科を買えば、自動的に短期合格できるわけではありません。
講座量も増えます。
LECは2027年向けの短答+論文フルコースを全168回とし、「学習時間を十分確保できる方」に勧めています。
TACも2年間コースの比較で、1年目から論文式まで狙う「2年本科生MAX」について、目安として週30時間以上の学習時間を確保できる人に勧めています。
一方、まず短答、翌年に論文を狙う「2年本科生Plus」は、週30時間未満で無理なく進めたい人向けとしています。
つまり、
全部入りのほうが充実しているから買う
ではなく、
論文まで並行して消化できる時間があるか
で選ぶ必要があります。
分けて買うと必ず高くなるわけではない
料金面は少し複雑です。
「セットなら単品を足すより必ず安い」と思いやすいですが、2027年向け商品を見ると必ずしもそうではありません。
アガルートでは、
短答式試験対策カリキュラム。
論文式試験対策カリキュラム。
短答式+論文式試験対策カリキュラム。
がそれぞれ独立して販売されています。
2026年8月時点の掲載価格を単純に足すと、短答と論文を別々に購入した金額と、短答+論文カリキュラムの金額には大きな差がありません。
むしろ組み合わせによっては、単純な商品価格だけを見ると分割購入側がわずかに低くなる設定も確認できます。
ただし、短答+論文カリキュラムには、合格時の全額返金・お祝い金という合格特典が設定され、短答のみ・論文のみは対象外です。
したがって、
販売価格だけ
ではなく、
特典。
添削。
フォロー。
割引。
まで含めて比較する必要があります。
LECでは分割すると合計額が大きくなる例もある
LECの2027年向けオンラインショップでは、掲載されている最低価格ベースで、
短答合格コース。
論文合格コース。
短答+論文フルコース。
が別々に設定されています。
短答合格コースと論文合格コースを後からそれぞれ購入すると、掲載価格の単純合計は短答+論文フルコースより高くなります。
ただし、通信・通学、Web・DVD、割引などによって実際の支払額は変わります。
ここで分かるのは、
分割購入は初期費用を抑えやすいが、最終的に両方購入すれば合計額が高くなる学校もある
ということです。
したがって、最終的に必ず論文まで進むつもりなら、最初からセットを買ったほうが有利なケースがあります。
分割購入には「論文講座を後から選び直せる」という利点がある
料金以外で大きな違いがあります。
短答だけ先に購入すると、短答合格後に論文講座を改めて選べます。
たとえば、
短答はTAC。
論文はアガルート。
短答はLEC。
論文はTAC。
という選択も可能です。
短答学習をしている間に、
映像講義が自分に合う。
答練を多くしたい。
添削を重視したい。
鑑定理論は得意だが民法・経済学が弱い。
といった自分の学習傾向が分かってくることがあります。
全部入り本科では最初から論文対策まで同じ学校で契約します。
分割購入なら、短答を経験してから論文対策を選び直せます。
短答合格後は論文だけのコースを選べる
短答式に合格した後は、必ず短答+論文セットをもう一度買う必要はありません。
TACには2027年向け「論文本科生/論文本科生B」があります。
LECには「論文合格コース」。
アガルートには「論文式試験対策カリキュラム」。
がそれぞれ用意されています。
そのため、
1年目
短答講座のみ
↓
短答合格
↓
2年目
論文講座のみ
という買い方ができます。
これは不動産鑑定士試験の短答合格後に短答免除期間があることとも相性のよい方法です。
中間案として「短答+論文基礎」もある
迷う人にとって使いやすいのが中間型です。
LECの2027年向け「短答+論文基礎コース」は、
短答対策を中心に進める。
論文の基礎インプットも先に始める。
論文アウトプットは後から追加する。
という構成になっています。
これなら、
全部入り本科ほど最初から論文答練まで抱えない。
しかし短答合格後に民法・経済学・会計学をゼロから始めるわけでもない。
という位置にできます。
「短答だけでは論文開始が遅くなるのが心配だが、フルコースは重い」
という人には比較する価値があります。
短答→論文の分割購入が向く人
次のような人は、分けて買う方法が候補になります。
- まず不動産鑑定士の勉強を続けられるか確認したい
- 仕事が忙しく、1年で短答・論文まで進める時間を取りにくい
- まず短答合格を確実に狙いたい
- 最初から大きな受講料を払いたくない
- 短答合格後に論文予備校を選び直したい
- 短答不合格なら、その時点で学習計画を見直したい
このタイプなら、短答講座だけを先に買う合理性があります。
全部入り本科が向く人
一方、次の条件なら全部入りが候補になります。
- 2027年に短答・論文の両方を突破したい
- 毎週かなりの学習時間を確保できる
- 自分で短答と論文の開始時期を管理するよりカリキュラムに任せたい
- 最後まで同じ予備校を使う予定
- セット価格や合格特典を利用したい
- 論文学習を早い段階から始めたい
この場合、短答だけ先に買って論文開始を遅らせるメリットは小さくなります。
迷ったら「短答後に論文をゼロから始めてもいいか」で決める
判断しやすい質問があります。
短答に合格した後から、民法・経済学・会計学を本格的に始めてもよいか。
「翌年の論文合格でよい」
なら、短答だけ先に買う方法を取りやすくなります。
「短答に合格した同じ年の論文式まで狙いたい」
なら、短答期間中から論文学習を始める必要性が高くなります。
その場合は、
全部入り本科。
または、
短答+論文基礎。
を検討するほうが学習スケジュールと合います。
結論|安さではなく、どの時点で論文へ進むかで決める
不動産鑑定士講座を短答→論文で分けて買う方法には、
初期負担を抑えられる。
短答に集中できる。
短答合格後に論文講座を選び直せる。
短答で学習を止めた場合に、未使用の論文講座を抱えない。
というメリットがあります。
一方、全部入り本科には、
論文学習を早く始められる。
短答と論文の学習時期を予備校が管理してくれる。
1年で最終合格を狙いやすい。
学校によっては分割購入よりセット価格が有利。
というメリットがあります。
そのため、
「どちらが安いか」
だけで決めないほうがよいでしょう。
まず短答だけ取るのか。
短答と論文基礎まで進めるのか。
最初から短答+論文を並行するのか。
この3段階で考えると、自分の勉強時間と合格目標に合う講座を選びやすくなります。
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講座を比較する前に、
短答と論文を同じ年に受け切りたい。
まず短答に受かり、論文は翌年でもよい。
のどちらなのかを決めてみてください。
前者なら全部入り本科、後者なら短答→論文の分割購入を比較しやすくなります。
さらに迷うなら、短答を中心にしながら論文の基礎だけ先取りするコースも候補になります。
出典
TAC|不動産鑑定士 コース・料金・日程表、TAC|不動産鑑定士講座、LEC|2027年合格目標 初学者対象講座、LEC|2027年合格目標 短答+論文基礎コース、LEC|2027年 不動産鑑定士 コース・パック、アガルートアカデミー|2027年合格目標 不動産鑑定士試験対策カリキュラム
この記事は、2026年8月時点の各資格スクールの公開情報をもとに作成しています。
