この記事では、司法書士試験を一度受験した人が、2年目に講座をどう買い直すかを整理します。
再受験で迷いやすいのは、
「もう一度入門講座からやり直すべきか」
「中上級講座へ進んで大丈夫か」
「択一は取れているから記述と答練だけでいいのか」
という判断です。
司法書士講座は高額なので、
不合格だった=本科をもう一度全部買う
と決める必要はありません。
見るべきなのは、前年の本試験で、
- 午前択一
- 午後択一
- 記述
- 総合点
のどこで落としているかです。
2026年度の司法書士試験では、択一式の基準点が、
午前の部:105点中84点
午後の部:105点中75点
でした。
一方、2026年度の記述式基準点・筆記試験合格点は2026年10月1日発表予定のため、2026年8月時点ではまだ確定していません。
参考までに2025年度は、
午前択一:105点中78点
午後択一:105点中72点
記述式:140点中70点
筆記試験合格点:350点中255点
でした。
司法書士試験は、午前択一・午後択一・記述のいずれかが基準点に届かなければ、その時点で不合格です。
そのため2回目の講座選びでは、
「何点足りなかったか」より先に「どの段階で止まったか」を見る
と判断しやすくなります。
司法書士2回目は前年と同じ本科をそのまま買い直さなくていい
1年目に入門本科を受講した人は、すでに、
- 民法
- 不動産登記法
- 会社法
- 商業登記法
- マイナー科目
- 択一過去問
- 記述の基礎
を一通り学習しているはずです。
それでも不合格だったからといって、
もう一度400時間前後の入門講義を最初から受けることが最適とは限りません。
現在の司法書士講座でも、初学者向けと学習経験者向けは明確に分けられています。
例えばアガルートの2027年合格目標では、
初学者向け
→ 入門総合講義・入門カリキュラム
学習経験者向け
→ 演習総合講義・中上級カリキュラム
記述を重点的に補強
→ 記述・答練パック
という構成です。
演習総合講義は約200時間で、基礎知識があることを前提に、重要論点と問題へのアプローチを中心に学ぶ設計です。
一方、入門・速習総合講義は法律用語などの基礎から網羅的に扱い、約400時間以上とされています。
つまり2年目は、
「不合格だったから入門」ではなく、「基礎から再構築する必要があるか」で決める
方が合理的です。
公式
アガルート|2027年合格目標 入門総合講義・入門カリキュラム
アガルート|2027年合格目標 演習総合講義・中上級カリキュラム
まず前年の成績を4つに分ける
2年目の講座を選ぶ前に、前年の成績通知を次の4つに分けます。
| 確認項目 | 見ること |
|---|---|
| 午前択一 | 基準点までどれくらい離れているか |
| 午後択一 | 基準点までどれくらい離れているか |
| 記述 | 基準点・合格者水準との差 |
| 総合点 | 基準点突破後にどれくらい上積みが足りないか |
ここから、
入門を買い直す人
中上級へ移る人
記述・答練だけ追加する人
を分けます。
午前・午後の択一が両方大きく基準点未満なら入門の買い直しも候補
例えば前年が、
午前択一
→ 基準点から大きく下
午後択一
→ 基準点から大きく下
記述
→ 十分に対策できなかった
という状態です。
この場合、
「2回目だから中上級」
と機械的に進むのは注意が必要です。
中上級講座は、一通り学習した人を対象に、
- 重要論点の再整理
- 問題演習
- 合否を分ける知識
- 実戦的な解法
へ比重を移します。
その前提になる基礎知識そのものが十分に定着していなければ、中上級講義を受けても、
「知っている前提で説明が進む」
「結局入門テキストへ戻る」
ということがあります。
特に、
- 民法の基本概念からあやしい
- 不動産登記法と民法がつながっていない
- 会社法・商業登記法を最後まで回せなかった
- マイナー科目をほぼ捨てた
- 過去問を十分回していない
という場合は、
入門講義をもう一度利用する価値があります。
ただし、前年の教材が使えるなら、
「入門カリキュラムを丸ごと新品で買う」
以外にも、
前年教材を残す
+
必要な講義だけ取り直す
+
新年度答練・模試を追加
という方法があります。
公式
アガルート|2027年合格目標 入門総合講義・入門カリキュラム
択一が基準点近くまで来ているなら中上級を先に考える
前年の択一が、
午前
→ 基準点付近
午後
→ 基準点付近
まで来ているなら、もう一度すべてを入門から聞き直す必要性は下がります。
例えば、
「知識は一通り入っているが、問題になると選択肢を切れない」
「過去問は覚えているが、聞き方を変えられると落とす」
「主要4科目は取れるがマイナー科目で失点する」
という状態です。
このタイプは、
インプット不足というより、知識整理と問題演習不足
である可能性があります。
アガルートの中上級カリキュラムは、一通り初学者向け講座を終えた人を対象に、演習総合講義を軸として、
- 記述過去問
- 実力確認答練
- 模試
- 法改正対策
などを組み合わせています。
2027年向けでは、
演習総合講義
→ 129,800円
中上級ライト
→ 184,800円
中上級フル
→ 272,800円
という構成です。
したがって、
講義をもう一度全部聞く必要はないが、知識を整理し直して演習量を増やしたい
なら、中上級が候補になります。
公式
アガルート|2027年合格目標 演習総合講義・中上級カリキュラム
択一が基準点未満でも「入門に戻る」とは限らない
ここは重要です。
択一が基準点未満だったから、
基準点未満
=
入門やり直し
ではありません。
例えば、
前年の基準点:26問
自分:25問
のように1問程度届かなかった場合と、
自分:15問
では状況が違います。
基準点直下まで来ていて、
- ケアレスミスが多かった
- 特定科目だけ大きく落とした
- 時間不足
- マイナー科目で数問失った
のであれば、
中上級
+
択一答練
の方が適している可能性があります。
TACの2027年向けにも、
「択一の基準点突破・点数の上乗せをしたい方」
を対象にした「答練本科生択一対策プラス」が用意されています。
つまり再受験では、
基準点未満という結果だけではなく、何問差だったかまで見る
必要があります。
公式
午前・午後択一が基準点を超えているなら入門を買い直す優先度は下がる
前年に、
午前択一
→ 基準点突破
午後択一
→ 基準点突破
できているなら、入門カリキュラムを丸ごと買い直す理由はかなり小さくなります。
もちろん、
「運よく基準点を超えただけで、知識が全然安定していない」
というケースはあります。
しかし基本的には、
択一の基礎インプットそのものより、記述・答案処理・実戦演習を見る段階
です。
司法書士試験では、択一式の各基準点を超えても、それだけでは合格できません。
2025年度は、
午前択一:78点
午後択一:72点
記述:70点
が各基準点でしたが、最終的な筆記試験合格点は255点でした。
基準点合計は220点なので、単純に各基準点を超えるだけでは35点足りませんでした。
つまり、
基準点突破後にどこで上積みするか
まで考える必要があります。
公式
択一は取れている・記述で落ちたなら記述答練を最優先にする
最も買い直しを減らしやすいのが、
午前択一
→ 基準点突破
午後択一
→ 基準点突破
記述
→ 基準点未満または低得点
というケースです。
この場合、前年の択一教材まで全部捨てて入門本科を購入する必要性は低くなります。
優先したいのは、
記述対策+答練+模試
です。
アガルートの2027年向けには、
記述・答練パック
が162,800円で用意されています。
さらに単科でも、
- 記述解法ベーシック講座
- 記述解法マスター講座
- 記述過去問解説講座
- 記述ひな形対策講座
が分かれています。
つまり、
前年の択一教材
+
最新版の法改正
+
記述講座
+
答練・模試
という組み方ができます。
公式
記述は「講義不足」と「演習不足」を分ける
記述が低かった人でも、必要なものは同じではありません。
そもそも答案の作り方が分からない
例えば、
- 何を登記するか判断できない
- 申請順序が分からない
- 申請情報の書き方があやしい
- 登録免許税までたどり着かない
という場合です。
このタイプは、
記述講義を追加
する方が先です。
問題は解けるが時間内に終わらない
例えば、
- 家で解けば取れる
- 初見問題で時間がかかる
- 午後択一に時間を使いすぎる
- 本試験形式になると崩れる
という場合です。
このタイプは、
答練・模試を増やす
方が重要です。
TACの2027年向け「答練本科生記述対策プラス」は、記述式を、
理論編
↓
論点別演習
↓
フルサイズ演習
の3段階で強化しながら、答練・模試で択一1,120問・記述56問を扱う構成です。
「記述が弱い」という一言だけで講座を選ばず、
解法を知らないのか、実戦量が足りないのか
を分けてください。
公式
択一も記述も基準点を超えたのに落ちた人は本科を買い直さない選択肢が強い
前年に、
午前択一
→ 基準点突破
午後択一
→ 基準点突破
記述
→ 基準点突破
それでも総合点で不合格
という人です。
この段階なら、
本科を最初から買い直す必要性はかなり低い
と考えられます。
必要なのは、
- 択一の上積み
- 記述得点の安定
- 初見問題
- 時間配分
- 法改正
- 本試験形式の模試
です。
例えば、
前年教材
+
答練本科
+
模試
+
必要な弱点単科
という構成を検討できます。
TACの答練本科生は、2027年向けで、
- 択一1,120問
- 記述56問
- 法改正対策
- 全国実力Check模試
- 全国公開模試
などを組み合わせています。
このタイプは、
知識をもう一度全部入れ直すより、本試験で点に変える練習
へ予算と時間を使う方が合理的です。
公式
2年目の講座を成績別に分けるとこうなる
目安を整理すると、次のようになります。
| 前年の状態 | まず検討する構成 |
|---|---|
| 午前・午後とも基準点から大きく下 | 入門再受講または基礎から再構築 |
| 択一が基準点近辺 | 中上級+答練 |
| 一方の択一科目群だけ弱い | 中上級または択一補強+答練 |
| 択一両方基準点突破・記述弱い | 記述講座+答練+模試 |
| 択一・記述とも基準点突破 | 答練+模試+弱点単科 |
| 総合点まであと少し | 本科買い直しよりアウトプット中心 |
これは絶対的な線引きではありません。
例えば択一基準点を突破していても、
「過去問の答えを暗記していただけで理由を説明できない」
のであれば、中上級で知識を整理し直す意味があります。
逆に基準点を1問下回っただけなら、入門へ戻る必要はないかもしれません。
「何問不足したか」まで見る
講座を選ぶときは、
基準点未満
基準点突破
の2択だけでは粗すぎます。
例えば2026年度択一の基準点は、
午前28問
午後25問
でした。
午前27問なら基準点まで1問です。
午前18問なら10問差です。
同じ「午前基準点未満」でも、必要な補強量は大きく違います。
そこで前年成績を、
基準点から5問以上離れている
基礎・知識体系まで戻ることを検討。
基準点まで2~4問
中上級で知識整理+演習増加を検討。
基準点まで0~1問
本科買い直しより、弱点科目補強+答練を優先候補にする。
というように使えます。
ただし、これは講座を選ぶための目安であり、試験制度上の公式区分ではありません。
科目別得点も必ず見る
午前・午後の合計点だけではなく、何を落としたかも確認します。
例えば、
民法・不動産登記法
→ 十分取れている
会社法・商業登記法
→ 大量失点
なら、
「全科目入門からやり直す」
必要はないかもしれません。
反対に、
主要4科目すべてで均等に落としている
なら、部分補強だけでは足りない可能性があります。
前年の問題を、
- 知らなかった
- 覚えていたが迷った
- 読み違えた
- 時間がなかった
- ケアレスミス
まで分類すると、買うべき講座がさらに見えやすくなります。
入門を買い直す前に前年教材を確認する
2年目に新しい入門本科を買う前に、
前年の教材をどこまで使えるか確認します。
例えば、
- 基本テキスト
- 過去問
- 記述ひな形
- 自分の書き込み・間違い記録
は、そのまま使える部分があります。
一方、
- 法改正
- 新年度答練
- 新年度模試
- 新しい本試験問題
- 最新傾向を反映した直前対策
は更新する価値があります。
したがって、
前年教材を全部捨てる
↓
新しい本科を全部買う
ではなく、
残す教材と買い直す教材を分ける
方が費用を抑えやすくなります。
中上級のフルとライトも「必要なもの」で決める
中上級へ進む場合も、
「上位コースだからフル」
とは限りません。
例えばアガルートの2027年中上級では、
ライト
- 演習総合講義
- 記述過去問解説
- 実力確認答練
- 模擬試験
- 法改正対策
フル
ライトの内容に加えて、
- 択一過去問解説
- 記述・択一パーフェクト12
などが含まれます。
前年の過去問教材を十分使えていて、
「新しい講義・答練・模試が欲しい」
ならライトで足りる可能性があります。
一方、
「択一過去問からもう一度組み直したい」
ならフルの方が合う可能性があります。
重要なのは、
価格差ではなく、前年教材で代用できるものがどこまであるか
です。
公式
アガルート|2027年合格目標 演習総合講義・中上級カリキュラム
まず買うものを1つに絞る
2回目の受験では、不安から、
中上級本科
+
別校答練
+
記述単科
+
模試
+
過去問講座
と一気に買いたくなることがあります。
しかし、前年の失点原因が分からない状態で講座を増やすと、
教材を消化できないまま試験直前になる
可能性があります。
まず、
基礎不足
→ 入門または中上級講義
択一得点不足
→ 中上級または択一補強
記述解法不足
→ 記述講座
実戦不足
→ 答練・模試
のうち、最も大きな穴を1つ決めます。
そのうえで足りないものだけ追加します。
司法書士2回目の買い直し判断
最終的には、前年の成績通知を次の順番で見ます。
STEP1 午前択一を見る
基準点から何問離れていたか確認します。
STEP2 午後択一を見る
同じく基準点との差を確認します。
STEP3 記述を見る
解法自体が弱いのか、時間・演習不足なのかを分けます。
STEP4 総合点を見る
各基準点を超えているのに落ちたなら、入門の買い直しは優先度を下げます。
STEP5 前年教材を残せるか確認する
テキスト・過去問・ひな形を再利用できるなら、新年度部分だけ追加します。
STEP6 最も大きな不足を1つ選ぶ
入門
中上級
記述
答練
のどこへ予算を使うか決めます。
つまり、
「2回目だから中上級」でも「不合格だから入門」でもありません。
前年の得点から、
次の1年で何を買わなくていいかまで決める
ことが大切です。
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迷ったら「講座名」ではなく前年の失点から決める
司法書士2回目では、
「どこの予備校が一番いいか」
より先に、
前年のどこで合格ラインから外れたか
を見る方が、必要な講座を絞りやすくなります。
午前・午後とも大きく基準点未満
→ 基礎から再構築
基準点近辺
→ 中上級+演習
択一基準点突破・記述不足
→ 記述+答練
各基準点突破・総合点不足
→ 答練+模試+弱点補強
というように考えれば、
「不安だから高額な本科をもう一度全部買う」
ことを避けやすくなります。
2年目は、1年目と同じものをもう一度買う年ではありません。
前年の成績表を使って、不要な講義を削り、足りない部分だけ買う年
と考えると講座を選びやすくなります。
出典
この記事は、2026年8月時点の試験情報・各講座公式情報をもとに作成しています。
法務省「令和8年度司法書士試験」、法務省「令和7年度司法書士試験筆記試験の合格点等について」、法務省「司法書士試験筆記試験記述式問題の配点の変更について」、アガルート「司法書士試験対策講座」、アガルート「2027年合格目標 入門総合講義/入門カリキュラム」、アガルート「2027年合格目標 演習総合講義/中上級カリキュラム」、TAC「2027年合格目標 答練本科生」、TAC「2027年合格目標 答練本科生択一対策プラス」、TAC「2027年合格目標 答練本科生記述対策プラス」
